AGA(男性型脱毛症)は、多くの男性を悩ませる症状ですが、これが「病気」なのか、そしてその治療は「医療行為」なのかという点について、疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。この点を理解することは、適切な診療科を選び、治療に臨む上で重要です。医学的には、AGAは「疾患」として認識されています。進行性の脱毛症であり、特定の原因(遺伝的要因と男性ホルモンの影響)によって引き起こされることが明らかになっています。そのため、医師による診断と、医学的根拠に基づいた治療が必要とされる状態です。この観点から、AGA治療は明確に「医療行為」に該当します。したがって、AGAの診断や治療は、医師免許を持つ医療従事者が、医療機関において行うべきものです。エステサロンや育毛サロンなどで行われるサービスは、あくまでリラクゼーションや頭皮環境のケアを目的としたものであり、AGAそのものを治療する医療行為ではありません。では、AGA治療を担う診療科はどのような視点でこの疾患を捉えているのでしょうか。まず「皮膚科」は、AGAを皮膚に現れる症状の一つとして捉え、皮膚科学の知識に基づいて診断・治療を行います。他の皮膚疾患との鑑別診断も重要視されます。「美容皮膚科」は、皮膚科の知識をベースにしつつ、AGAを美容的な悩みの一つとして捉え、見た目の改善やQOL(生活の質)の向上を目指した治療を提供します。患者さんの審美的な希望にも配慮したアプローチが特徴です。「AGA専門クリニック」は、AGAを専門的に扱う立場から、より深く掘り下げた診断と、最新の知見に基づいた多様な治療法を駆使して、症状の改善を目指します。AGAに特化した知識と経験が強みです。このように、診療科によってAGAに対する視点やアプローチに多少の違いはありますが、いずれもAGAを医学的な疾患と捉え、医療行為として治療を行っている点は共通しています。重要なのは、AGAの症状に気づいたら、自己判断で対処しようとせず、まずは医療機関を受診し、医師の診断と指導のもとで適切な治療を受けることです。信頼できる医師と相談しながら、自分に合った治療法を選択していくことが、AGA克服への道筋となるでしょう。