AGA(男性型脱毛症)の治療において、「遺伝だから薬も効かないのではないか」と懐疑的になる人がいますが、結論から言えば、遺伝的な要因が強い人ほど、医学的な治療薬であるフィナステリドやデュタステリドの効果を実感しやすい傾向にあります。なぜなら、これらの治療薬はAGAの発症メカニズムそのものに介入し、遺伝によって活発になりすぎた5αリダクターゼの働きを阻害したり、DHTの生成を抑制したりするように設計されているからです。つまり、遺伝子の命令によって体内で起きている「薄毛化プロセス」を、化学的な力で強制的にブロックするのがAGA治療薬の役割であり、原因が遺伝であるからこそ、その原因物質をターゲットにした治療法が理にかなっているのです。特にフィナステリドは、世界中で行われた臨床試験において、服用者の9割以上で進行遅延効果が認められ、多くの人で改善効果が見られたというデータがあり、これは遺伝の壁を越えて薬が作用することを証明しています。ただし、遺伝の強さや体質によっては、薬の効果が出るまでに時間がかかったり、効果の現れ方に個人差があったりすることも事実であり、完全にフサフサに戻るまでには至らないケースもあります。また、薬の効果は服用している間だけ持続するものであり、服用を中止すれば再び遺伝子の命令が優位になり、薄毛が進行してしまうため、遺伝的な背景を持つ人は、長期的な視点で治療を継続する覚悟が必要です。しかし、現代医学では内服薬だけでなく、外用薬のミノキシジルや、成長因子を注入するメソセラピー、自毛植毛など、多角的なアプローチが可能になっており、単一の治療法で効果が不十分な場合でも、組み合わせることで改善の可能性を高めることができます。遺伝は強力な敵ですが、医学という武器を使えば十分に戦える相手であり、「遺伝だから仕方がない」と諦める前に、専門医に相談し、自分に合った最適な治療戦略を立てることで、髪のある未来を取り戻すことは決して夢物語ではないのです。
AGA治療における遺伝の壁と薬の有効性