ストレスという髪への逆風に立ち向かうためには、体の中から髪を強くする、いわば「守りの栄養戦略」が不可欠です。ストレスを感じると、私たちの体は通常よりも多くの栄養素を消費してしまいます。特に、髪の健康に直結するビタミンやミネラルが枯渇しやすくなるため、意識的に食事から補給することが、ストレスによる薄毛を防ぐ上で非常に重要になります。まず、ストレス対抗ホルモンである「コルチゾール」を合成する際に大量に消費されるのが、「ビタミンC」です。ビタミンCは、頭皮の健康を保つコラーゲンの生成にも不可欠であり、鉄分の吸収を助ける働きもあります。ストレスが多い時ほど、パプリカやブロッコリー、柑橘類、キウイフルーツなどから、積極的にビタミンCを摂取しましょう。次に、精神の安定に関わる神経伝達物質(セロトニンなど)の生成をサポートするのが「ビタミンB群」です。特にビタミンB6は、タンパク質の代謝にも関わる重要な栄養素です。ビタミンB群が不足すると、イライラしやすくなったり、疲れやすくなったりするだけでなく、皮脂の分泌異常による頭皮環境の悪化も招きます。豚肉やレバー、マグロ、カツオ、バナナなどに豊富に含まれています。また、ミネラルの中では「亜鉛」と「カルシウム」が特に重要です。亜鉛は、髪の主成分であるケラチンの合成を助けるだけでなく、不足すると精神的に不安定になるとも言われています。牡蠣や赤身の肉、ナッツ類から摂取できます。カルシウムは、神経の興奮を鎮める働きがあり、「天然の精神安定剤」とも呼ばれます。乳製品や小魚、大豆製品に多く含まれています。そして、これらの栄養素の土台となるのが、髪の材料そのものである「タンパク質」です。特に、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの原料となる必須アミノ酸「トリプトファン」を豊富に含む、肉や魚、大豆製品、乳製品は、ストレス対策と育毛の両面から非常に有効です。ストレスを感じると、つい食事を抜いたり、簡単なもので済ませたりしがちですが、そんな時こそ、意識してこれらの栄養素をバランス良く摂ること。それが、ストレスという嵐の中でも倒れない、強くしなやかな髪を育むための、何よりの力となるのです。