「太っているからハゲるなら、痩せれば髪は元通りに生えてくるのか」という疑問を持つ人は多いでしょう。この問いに対する答えは、「イエスでもあり、ノーでもある」という少し複雑なものになります。まず「イエス」の側面から説明すると、肥満が原因で起こっていた血行不良やホルモンバランスの乱れ、頭皮の過剰な皮脂分泌などが、適正体重に戻ることで改善されれば、髪が生える環境は劇的に良くなります。圧迫されていた血管が解放され、栄養がスムーズに毛根に届くようになり、炎症が収まることで、休止していた毛根が再び活動を始める可能性は十分にあります。実際に、ダイエットに成功して生活習慣病が改善した結果、抜け毛が減り、髪にコシが戻ったという事例は数多く存在します。しかし、「ノー」の側面も無視できません。一度死滅してしまった毛根、つまり毛包そのものが完全に消失してしまった部分からは、どれだけ健康になっても新しい髪が生えてくることはありません。また、薄毛の原因が肥満だけでなく、遺伝的な要素(AGA:男性型脱毛症)が強く関与している場合、痩せるだけでは薄毛の進行を完全に止めることは難しく、専門的な治療が必要になることもあります。さらに、前述したように、間違ったダイエットで栄養不足に陥れば、痩せても髪は生えるどころか、逆に抜けてしまうこともあります。重要なのは、痩せること自体を目的にするのではなく、「髪が育つ健康な体を作る」ことを目的にすることです。結果として体重が落ち、適正体重になる過程で、体全体の機能が向上し、髪にも良い影響が出るというのが正しい順序です。痩せれば魔法のようにフサフサになるわけではありませんが、肥満のまま放置するよりは、回復の可能性ははるかに高まります。諦めずに、健康的な体作りを続けることが、髪への最大の愛情表現となるのです。