「うちはハゲ家系だから自分も絶対ハゲる」と悲観している若い男性は多いですが、遺伝学における確率論を正しく理解すれば、それが必ずしも確定した未来ではないことが分かり、少しは肩の荷が下りるかもしれません。まず、母方の祖父が薄毛である場合、その遺伝子を受け継ぐ確率は50パーセントですが、受け継いだとしても発症するかどうかはまた別の確率が絡んできます。さらに、日本人の成人男性におけるAGAの発症率は全年齢平均で約30パーセントと言われていますが、これを逆に捉えれば、70パーセントの人は薄毛にはならないということであり、たとえリスクが高くても、サイコロの目は振ってみなければ分からないのです。また、薄毛に関わる遺伝子はX染色体上のアンドロゲン受容体遺伝子だけでなく、常染色体上の様々な遺伝子が関与する多因子遺伝であるため、すべての悪いカードが揃う確率はさらに低くなります。例えば、感受性が高くても、ホルモンの分泌量が少なければ発症しないかもしれませんし、5αリダクターゼの活性が低ければDHTが作られにくいかもしれません。このように、薄毛の発症は無数の要因が複雑に絡み合った結果として起こる現象であり、一つの要素だけで「100パーセント確定」と断じることは不可能なのです。もちろん、リスクが高いという事実は無視できませんが、それは「がん家系だから検診をしっかり受けよう」と考えるのと同様に、「薄毛になりやすい体質だからケアをしっかりしよう」というポジティブな予防行動に繋げるための情報として活用すべきです。確率はあくまで集団における統計データであり、個人の運命を決定づけるものではありません。あなたがその50パーセントに入るか、あるいは例外的なケースになるかは、神のみぞ知るところですが、少なくとも「絶対にハゲる」という呪いを自分にかけるのはやめて、「もしかしたらハゲないかもしれないし、ハゲても治せる時代だ」と楽観的に構えるくらいが、ストレスを減らし、結果として髪にとっても良い影響を与える確率論的にも賢い生き方なのです。