薄毛の悩みに対して、薬による治療を検討する方は多いでしょう。薄毛治療薬は、その作用や効果、入手方法によっていくつかの種類に分けられます。ご自身の薄毛の状態や原因に合った薬を選ぶことが、効果的な治療への第一歩となります。まず、薄毛治療薬は大きく分けて「内服薬」と「外用薬」があります。内服薬は口から服用し、体の内側から薄毛の原因に作用する薬です。主に男性型脱毛症(AGA)の治療に用いられ、AGAの原因となる男性ホルモンに作用することで薄毛の進行を抑えたり、発毛を促したりします。代表的な成分としては、「フィナステリド」や「デュタステリド」があります。これらの薬は、男性ホルモン(テストステロン)がジヒドロテストステロン(DHT)という成分に変換されるのを阻害する働きがあり、DHTが毛根を攻撃してヘアサイクルを乱すのを防ぎます。フィナステリドは5αリダクターゼII型を阻害し、デュタステリドはI型とII型の両方を阻害するため、デュタステリドの方がより強力にDHTの生成を抑制するとされています。これらの内服薬は、医師の処方が必要な「医療用医薬品」に分類されます。一方、外用薬は頭皮に直接塗布して使用する薬です。頭皮の血行を促進したり、毛母細胞を活性化させたりすることで発毛を促すことを目的としています。外用薬の代表的な成分は「ミノキシジル」です。ミノキシジルは、血管拡張作用によって頭皮の血行を改善し、毛母細胞への栄養供給を増やしたり、毛母細胞自体を活性化させたりする働きがあると考えられています。ミノキシジル外用薬は、薬局などで購入できる「第一類医薬品」として市販されているものと、医療機関でより高濃度で処方されるものがあります。市販のミノキシジル外用薬は、男性用は濃度が1%や5%、女性用は1%や2%の製品が一般的です。医療機関では、これら以外に医師の判断でより高濃度のミノキシジル外用薬が処方されることもあります。円形脱毛症など、他の原因による薄毛に対しては、ステロイドの外用薬や内服薬、あるいは免疫抑制剤などが用いられることがありますが、これらの薬は医師の診断に基づき、原因疾患の治療として処方されます。